ACADEMIC HACK! 実践研究会【実践を記録すること、物語ること、コミュニティをつくること】_報告編

先日、ACADEMIC HACK! 実践研究会【実践を記録すること、物語ること、コミュニティをつくること】というイベントを事務局・場づくり担当としてお手伝いしました。


ACADEMIC HACK!(アカデミック・ハック)は、東京大学大学院中原研究室が主催するアカデミックイベントです。

キープ森のようちえんにて森の案内人、保育士、そして野外保育での子ども達の様子を撮影する写真家として活動される小西貴士さんをお招きし、小西さんの「実践の記録」を見せていただきながら、「実践を記録する、物語る、コミュニティをつくる」ことについて対話しようという企画です。

まずは小西さんが森で子ども達と過ごしながら撮影された素晴らしい写真をスライドショーで見せていただきます。ゆっくりと落ち着いた小西さんの声で、そこにあった子ども達の「物語」を音楽にのせて朗読していただきました。

そこには、「子ども」だとか「森」だとか、一般化して語ることができない圧倒的なリアリティがありました。子ども達の声や息づかい、森の風の心地まで伝わってくるようです。

会場では、参加者の方々も声をあげて笑ったり、思わず涙する方もいらっしゃったほど。

 

スライドショーの中で何度か使われていた「子どもは子どもの時間を生きています」という言葉がとても印象に残りました。

小西さんが切り取っていらっしゃるのは、大人が思う「こうでなければならない」「こうなるだろう」という子ども像ではありません。小西さんの言葉を借りれば、「ただ、”こんな風になりました”という物語」なのだそうです。

子どもの世界、子どもの物語を、ありのままに見ていらっしゃる小西さんの目線が、写真や言葉のそこここから溢れてきます。

こんな風に子ども達の記録を残すことについて、小西さんはこんなことを語っていらっしゃいました。

「99%子どもと遊んでいて、1%で撮っている。」

「名前を知らない子どもの写真を撮るのは苦手。」

一人一人の子ども達と向き合ってこそ、見る事ができる物語、撮れる写真なのですね。

写真を撮影していると、「今は写真を撮るよりも手を差し伸べたい」と思うことがあり、そんな時はカメラを向けずにその思いに従うのだそうです。実践者としての小西さんと記録者としての小西さんの重なりの部分が垣間見えたような気がしました。

森の案内人であり保育士でいらっしゃる以上、子どもと同じ目線に立つのではなく、でも、子どもの世界をありのまま受け止めそこに寄り添う存在として、子どもと一緒にいらっしゃるのかなと想像します。

 

主催の中原先生からは、哲学者・鷲田清一さんの言葉を引用してこんなお話がありました。

「鷲田さんは、大人になると人はいつも”pro”(前)という概念でものを見ている、と言います。たとえばprofit、prospect、projectなど。子どもと一緒にいる時も、いつの間にか”pro”という前のめりな視点で子どもの世界を見てしまっているかもしれない。」

世界の「ありのままの姿」を見る、そしてそれに寄り添うということは、実はとても難しいことなのだと気づかされます。

 

今回私は個人的に、良い「記録」をしようと考えていくとそれは結局のところ「記録」のことだけを考えていても実現しない、ということをとても感じました。

小西さんの記録には、子ども達の物語があります。

そしてそれは、「子どもの物語を撮ろう」と漫然と撮影しても、撮れるものではないということは容易に想像がつきます。

小西さんの記録には、小西さんが子ども達の世界を見ていらっしゃる「目線」が現れていました。

「どう記録するか」は「どう見ているか」なのだと思います。

 

では、そもそも「実践を記録する」ことにはどんな意味があるのでしょうか。

中原先生からは、記録することには

①学習者の記憶が作られる素材になること

②実践者の振り返りの素材となり、実践を支えること

③次の世代の実践者を育て、実践をとりまくコミュニティをつくっていく素材となること

という意味があるのでは、というお話がありました。

より良く生かされていく素材となるためにも、どう記録するか、実践をどのように見るかということは、重要なポイントなのではないかと思います。

 

中原先生とのセッション、会場からの質問を挟みながら、「デザートスライド」までたっぷりとスライドショーを堪能させていただき、3時間は本当にあっという間に過ぎてしまいました。

 

参加者の方も感想を書いてくださっています。

「記録すること」は「物語ること」「コミュニティを作ること」への第一歩

実践にかかわりながら記録するということ

中原先生のブログはこちらです。

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ご参加いただいた皆様、ゲストの小西貴士さん、北鎌倉の山から会場を彩る素敵な草花を持ってきてくださった高瀬美紀さん、場づくりのお手伝いをしてくださった大学生の山根賢一さん、小池貴彦さん、貴重な機会をくださった中原先生、ありがとうございました。

続いて、【場づくり裏話編】もご覧ください。

今回場の演出で目指したこと、裏話をご紹介しています。

 

小西さんのご著書はこちらです。


 



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